アイアンクロー

ヒール（悪役）のプロレスラーのフリッツ・フォン・エリック（ホルト・マッキャラニー）は、自らのプロレス団体を設立。息子のケビン（ザック・エフロン）らをレスラーに育て上げようとしていた。1979年、ケビンがNWAテキサス州ヘビー級チャンピオンとなる。フリッツはケビンを称賛しつつもさらなる鍛錬を積むように命じる。フリッツは早くに長男を亡くし、次男のケビンを筆頭にしたレスリング界最強のファミリーを作り上げようとしていた。ケビンに続いて三男デビッド（ハリス・ディキンソン）のデビューが決まり、大学生の四男ケリー（ジェレミー・アレン・ホワイト）はオリンピック代表選手として日々トレーニングに励んでいた。しかしアメリカのモスクワ五輪のボイコットにより活躍の場を失ったケリーは、父の勧めでプロレスラーになることを決意する。フリッツはケビン、デビッド、ケリーを兄弟レスラーとして売り出し、次第に華のあるデビッドとケリーに人気が集まっていく。ケビンは自分に向けられていた父の期待が弟たちに移っていることを察知するが、ストイックに弟たちを支え続けていた。そんなケビンにとっての心の安らぎは恋人のパム（リリー・ジェームズ）の存在だった。パムが妊娠し、2人は家族の祝福を受けて結婚する。デビッドが一家の念願である世界ヘビー級タイトルマッチに挑戦する日を間近に控えたある日、巡業中の日本でデビッドが急死。家族は悲しみに包まれるが、父フリッツは悲しみを乗り越えて先に進むように子供たちを叱咤する。デビッドの追悼興行でリック・フレアーとのヘビー級タイトルマッチが行われることになり、フリッツはコイン投げでケビンとケリーのどちらが対戦相手になるかを決める。選ばれたケリーはフレアーを倒し、ついにフォン・エリック家から世界ヘビー級王者が誕生した。しかしケリーはバイクの事故で片足を失ってしまう。一方ケリーの事故によって、ミュージシャンを目指していた五男のマイク（スタンリー・シモンズ）もレスラーの道を歩むことになるが、試合中に負傷して病院に担ぎ込まれる。マイクは後遺症に悩まされ、周囲の期待にも耐えきれずに衝動的に命を経ってしまう。さらに義足で復帰したケリーも、鎮痛剤が手放せず中毒症状に苦しむようになり、実家の庭で拳銃自殺を図る。