フェラーリ

エンツォ・フェラーリは、レースドライバー、チームマネージャーを経て、1947年、エンツォは妻のラウラと共にフェラーリ社を設立。乏しい資金で製造した最初のマシーンは、６戦目のローマ・グランプリで優勝し、世界のレーサーたちがシートを争う名チームに成長していた。設立から10年が過ぎた1957年、フェラーリ社は破産寸前の危機に陥っていた。競合他社がフェラーリのスピード記録を破り始めたため、乗用車の売り上げは減少し、資金確保が難しくなっていたのだった。そして、前年には一人息子のディーノが、24歳の若さで亡くなったことが、エンツォとラウラの夫婦関係を冷え切らせていた。会社の危機と夫婦の危機がエンツォに重くのしかかっていたが、彼にはリナ・ラルディという愛する女性がいた。1945年に二人の間にピエロが生まれると、リナはエンツォからの援助を受けながら息子と共にカステルヴェトロで暮らしていた。婚外子として生まれたピエロは、12才になった今でもエンツォの息子として認知されることが叶わず、そのことがリナの悩みの種になっていた。 資金豊富なフィアットやフォードからの買収工作、そして私生活の問題によって、全てを失う危機感を抱いたエンツォは、社運を賭け、イタリア全土1000マイルを縦断する公道レース【ミッレミリア】に参戦する。勝利への情熱に満ちた5人のレーサーたちによってチームが編成され、遂にスタートを迎える時が来た。だが、想像も出来ない過酷な運命が、エンツォとレーサーたちを待ち受けていたのだった……。