第9話 誇り高き男

第9話 誇り高き男

標準画質 200ポイント
高画質 300ポイント
この作品はご利用のブラウザでは再生できません。
詳細はこちらをご確認ください。
一五四五年、フランスとの戦争はまだ続いていた。めっきり衰えたヘンリーのもとに、ブーローニュで国王代理を務めていたサリーがサンテティエンヌで無謀な戦闘を試み、大敗を喫したという知らせが届く。ヘンリーは枢密院にその審問を命じ、サリーを帰国させて、エドワード・シーモアをその後任に命じる。 枢密院で行われた審問で、サリーは戦争に関する報告は誤りで、すべて誤解であると主張する。しかし、ヘンリーによって新しく大法官に任じられたリズリーが議長を務める審問は、サリーに敵対する勢力の主導で決定的に不利であった。サリーは公職から追われ、それまでの称号もすべて剥奪される。 権力抗争が顕在化するいっぽうで、ガーディナー司教らの異端者狩りもやむことはなかった。キャサリンを隠れプロテスタントと睨んで、いつか彼女を抹殺しようと狙っていた彼の一派は、チャプイスの帰国と死で孤独を深めているメアリーも心理的に巻き込み、しだいに王妃キャサリンにその手を伸ばしていった。 そのひとつが、異端的な説教(化体説を否定)を行っている詩人で宮廷にも出入りしているアン・アスキューの逮捕である。彼女は拷問にかけられ、宮廷にいる同志達の名前を明かすよう迫られる。女性を拷問するのは違法だったが、異端者は悪魔であり、悪魔に男も女もないと、ヘンリーはそれを許したのだ。 そのヘンリーはその年の一二月に議会で演説を行う。宗教界の分裂を戒め、愛を説いた演説だった。 フランスとの和平がなった。すでにイングランドの情況は、フランスが大軍を集結させる、皇帝がイングランドを裏切る、膨大な戦費をまかなうため借金はかさむ、疫病が流行…と悪くなる一方だった。八年後にブーローニュをフランスに返還、代わりに大金が支払われるという講和の条件は、ヘンリーにとって悪くないものだった。 ガーディナーの異端者狩りの輪はしだいに狭まり、王妃の妹アンや侍女達にまで手が及ぶ。しかし証拠となる品を処分してしまったので、アンは辛くも難を逃れる。 アスキューは拷問にも口を割らないまま火刑に処せられた。拷問で四肢の関節が外れて歩けない彼女は、椅子に乗せられ刑場に運ばれた。友人のアン・シーモアは役人に頼んで彼女の首に火薬の袋を下げさせる。苦しみを少しでも早く終わらせるためだ。 ヘンリーの健康状態は日に日に悪くなり、王子の成人までもたないだろうと見られていた。幼君を後見する摂政となれば大きな権力が手に入る。サリーは王子を取り巻いているシーモア派を実力で排除し実権を握ろうと企むが、決行の前に逮捕される。サリーが、王が亡くなったら王子を補佐するのは自分だと言ったことや、懺悔王エドワード(11世紀に在位)の紋章を不正使用したことが、王位簒奪を目論んでいる証拠だと見られたためである。ロンドン塔に捕らえられていた間に脱獄を試みたが失敗。これも裁判で有罪の証拠とされる。 裁判では、サリーはその紋章は彼の祖先が懺悔王から使用を許されたものであり、それゆえ彼にはそれを身につける権利があると主張した。この事実は周知のことであったが、そもそも裁判ははじめから結論ありきだった。ハートフォード伯エドワードらの一派が彼を排するための裁判だったのだ。 そのために、エドワードはサリーを愛し重用していたヘンリーの耳にもサリーに不利な話を吹き込み、王の気持ちを冷めさせていた。王の愛と後ろ盾を失ったサリーに勝ち目はない。彼は有罪となる。 ヘンリーはキャサリンと穏やかな結婚生活を送っていた。健康状態の優れない夫の気を紛らわすため、キャサリンはしばしばヘンリーと宗教談義をして、それが論争に及び、異端的なことばを口にしてしまうこともあった。ガーディナーはヘンリーがそんな教養のある知的な妻に辟易しているチャンスをとらえ、これに近づく。そして、王妃の考えは異端であり、彼女を逮捕するための法的な準備が必要だとヘンリーを説得した。
キャスト
トマス・カルペパー: トランス・クームズ
キャサリン・ハワード: タムジン・マーチャント
キャサリン・パー: ジョエリー・リチャードソン
再生対応デバイス:
サービス提供:
株式会社ビデオマーケット
(C)2010 TM Productions Limited and JW Tudors IV Inc. All Rights Reserved.